日本の医療制度を焼き尽くす研修医制度:日本の医療制度は,全国民が収入の多寡に関わらず,また,居住地に依らず,平等な医療を安く受けられるという点で,世界一のものであった.

 しかし,厚生労働省は1998年から「医療亡国論」,つまり医療費の増大が国を滅ぼす,という何だかよく分からない理屈を唱え,医療費を遮二無二削っていった.

 しかし,実際には当時の日本の医療費は先進国7カ国の中でGDPあたりの医療費の占める比率は最低であった.逆に,土木建築費はG7の日本を除く6カ国の合計額よりも多かったのである.

 そして,ついには平成16年に医師の供給システムの根幹をなしている大学医局制度に手を付け,「研修医制度」を立ち上げた.これにより,大学の医局に新人が入らなくなり,大学の医局制度は崩壊し,したがって,大学から医師の派遣を受けていた地域の基幹病院はあっという間に崩壊した.

 この制度の導入を精力的に導入した人物は厚生労働省の箱崎という男であるが,厚生箱崎は,若い頃,インターン闘争に情熱を燃やしており,大学医局崩壊という積年の宿願をついに果たしたわけである.しかし,地域医療までをもいっしょに崩壊させてしまった.

 あたかも,映画「風の谷のナウシカ」で,巨神兵が栄えていた文明社会を一気に滅ぼしたように,厚生労働省が研修医制度という巨神兵を使って,日本のすぐれた医療制度を崩壊させたのである.

画題:巨神兵に破壊されつくされた日本の病院

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