The shepherd always tries to persuade the sheep that their interests and his own are the same. (Stendahl)
羊飼いはいつも羊たちに、羊たちの利害関係と自分のそれは同一だと説得しようとする。スタンダール(英語一日一言 Jan 23 岩田一男著 より)
今、英語の諺や日本や中国の諺、金言を勉強している。
諺や金言と言うものは、実に良いものだ。奥深く含蓄深い。
あまりにも世相を映し出しすぎていてピクピクくることもしばしばだ。
今日、ピクピクとした金言は、あのスタンダール(仏)のもの。
「羊飼いはいつも羊たちに、羊たちの利害関係と自分のそれは同一だと説得しようとする」
羊飼いとは政治家、羊は、国民、大衆のことであろう。
何時の時代もそうなのだ。
そして、例外無く安倍政権もそうである。
彼の良く言う、改革、やら、成長戦略やら、TPPなど碌(ロク)なものではない。
結局は、大資本家だけが国民をダシにして滅茶苦茶に儲けようとするもの。それでも、得意げに、苦しげに、自身たっぷりに今日も、国民と自分らの利害関係の一致を騙るのである。
農協潰しも結局は企業に農業ビジネスのチャンスを与えようとするものであり、そのために食糧自給率や農村がぐちゃぐちゃになってもかまわない。企業が農業をできるのかどうかは分からないが、チャンスがあればそれで良い、という考え方である。ダメなら、介護ビジネスのようにさっさと手を引くさ、という姿勢である。
ヒドい法律が作られようとしている。残業代ゼロ法案と派遣労働者の規制の大幅拡大だ。今まで派遣の状態は3年が限度だった。これを無期限にしようというもの。
今だって、定年が65歳になったと言っているが、65歳まで務められる人なんかわずかしかいない。50歳近くになると,猛烈な嫌がらせと肩叩きが始まって、50歳そこそこで退職している。正社員でもそうなら、派遣等40歳か45歳で退職の憂き目を見ているのだろうな。
それが、今やこの法案で、殆どの労働者が、派遣になるだろう。残業代ゼロ法案は、50歳前後の社員を辞めさせる絶好の法案だ。今までは、過酷な転勤を命じて辞めさせようとするのが関の山だった。これだとこれに対抗出来る人は易々といつまでも職場に居続ける事ができた。しかし、残業代ゼロ法案で、過大な仕事を押し付け、出来なければ辞めさせる事ができるようになるわけだ。
大企業の経営者は、労働者に対して2つの絶大なスーパーウエポンを持った訳だ。
「いや、頑張れば何とかなるのでは・・・」という人もまだいるのかもしれない。
おめでたい考えだ。
大企業、グローバル企業に浮き沈みは世界中の様々な出来事に起因する。
イスラム過激派勢力が何かをしでかしたり、中国でまたぞろ暴動が起こったりしただけで、収支に大きく響く。
日本の電機メーカーだって、アップルがスマホを出したせいで、どうにも行かない状況となった。
これからは、そのようなことに合わせて、派遣を大幅に雇ったり、大幅に首にしたりしてれば良い訳だ。
人が足りなければ、外人を雇うさ、という姿勢も露骨である。
外人の生活保護率はものすごく高いことが、国会答弁でも指摘されていた。
つまり、企業家にとっては、外人労働者を入れて賃金を下げて利益は自分のもの、彼らが生活保護になったり犯罪を犯したら、国民の皆さん、御愁傷様、お願いします、という発想である。
国民と彼らの利害関係は同一どころか、相反しているのである。
このような考え方をする企業家、ワールドワイドに会社を経営している人たちは、所謂、新自由主義、という考え方に被れている。
そうするとこのような発想になる訳だ。彼らの目指すものは、「スーパーリッチ」である。(拙著 人民の新しい支配者 スーパーリッチ 参考)
彼らはロクに税金を払わず政治家に献金をして、自分達の良いように法律を作ろうとする。その法律は規制緩和をうたい文句にして、今まで日本国民が守って来たものの破壊もものともしていない。今までのものを壊すことを「恐れるな」と政治家に叫ばせたりする。
今の日本の政党政治を俯瞰するに、与党は自民党であるが、これは実際は、「新自由主義クラブ」とでも言った方がよさそうなものである。この新自由主義クラブは他にもある。維新である。維新の橋下さんは、早々と、TPPに賛成していたのを覚えておられるだろうか。得意の「船中八策」でも、TPPに賛成することを党員に義務づけている。もやは、維新は、バリバリの「新自由主義クラブ」の一員である。
もっとバリバリだった、みんなの党 も、TPP賛成の最右翼だった。もちろん彼らも「新自由主義クラブ」の一員であるが、単なる自民党の補助勢力に成り下がり、存在意義を無くし、衆議院選挙直前に瓦解した。
民主党が、新自由主義者たちと肌がアウトはとても思えないが、TPPは彼らが種を蒔いたもの。そのあとも民主党執行部はTPPには殊の外ご執心で、その後の衆議院選挙でも、時の野田首相は候補者にTPP賛成を義務づけようとしたほどだ。今、彼らがどのような考えを持っているのか、私は知らない。しかし、TPPに対して党として反対を表明しているわけではないので、3年前の状態が続いているのだろう。つまり、党の中にTPP反対の人はいるものの、党としては反対はしていないのだろう。最近は存在感が薄れてしまってどう出も良くなった観もあるのだが・・・
新自由主義者の宰領格にあたる人物が竹中平蔵氏。規制改革会議とか、経済財政諮問会議のとか、その手のくだらない会議の中枢にいる人で、政府のこの手の法案を一手に作文しているのが彼である。
彼は同時に、人材派遣会社の社長も務めている。故に、派遣社員を大幅に増やす今回の派遣労働法の改正には精力的に取り組んでいる。なにしろ、殆どのサラリーマンや労働者を派遣社員にできるのだから。そして、企業は給料の1割か2割を余分に人材派遣会社に払っていれば、いつでも社員の首を切れるのだから、企業はともかく、人材派遣会社にとっては美味しい事この上ない。座っていれば、金が入ってくるのだから。
それに加えて、人材派遣会社の税法は非常に不思議で、あまり税金を払わなくても良いシステムになっているそうだ。なにしろ、あの竹中平蔵氏が腕によりをかけて法律を作ったのだから当然だ。
新自由主義者たちは、目下大変な勢力を振るい、政党を「新自由主義クラブ」として纏め上げ(まとめあげ)、羊たちを収奪するのに余念がない。
羊たちは彼ら羊毛を刈られ、好きな時に肉にされるしかないのであろうか。
昨日(平成27年2月17日)に読売テレビで「私の遺伝史」という番組をやっていた。有名人を色々と登場させ、自分を今の自分にせしめるのに大きな影響を与えた人を登場させていた。フィギアスケートの荒川しずかさんなども出ていた。ここに何と安倍首相も登場していたのである。そして、翌日即座に世論調査が行われ、安倍首相の支持率が上昇していた。あまりにも出来過ぎ君に驚いた。政権に言われて読売テレビがこのような番組を拵えた(こしらえた)のであろう。新自由主義者、新自由主義クラブの人たちは本当に力があり、羊たちを誘導するくらい彼らに取ってお茶の子サイサイのようである。
しかし、それでも・・・である。
我々には、新自由主義者のように金も力もないが、知る事こそが力になると私は信じている。
その信じる材料としてこの漫画を認めた(したためた)のである。
編集後記:この漫画を描くのに有に3時間。この記事を書くのに1時間半程。途中で家のブレーカーが落ちたりした。きっと曲者が侵入したのであろうか。