解説

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 前の漫画で示したが,日本人はいわば日本語というOSが頭に入っていて,この上で英語のアプリを動かして,英語を理解している訳である.

 そして,この日本語のOS上に,勉強して,数学なり,医学なり,あるいは,自分の仕事なりのアプリをインストールし充実させようとしているのである.これが仕事であり,勉強の本来の姿なのである.

 最近,日本で興味深い(馬鹿げた)試みを真顔で実践しようとしている人がいる.

 幼稚園くらいの子供に英語を習わせるのである.まあ,その勉強内容は英語で遊ぼう,という感じであるが・・・まさか,この親たちは子供に日本語のOSとともに英語のOSもインストールしようといているのではあるまいか.それは無理である.一人の人間に,ひとつのOS.一つの言語なのである.それは前の漫画で述べた.

 日本人でものすごく英語のうまい人がいる.あたかも英語のOSが入っているかの如くである.英語で聞いて,英語で考え,英語で喋ってる,ように見える.彼らもそのように言ったりする.しかし,これも,彼らは日本語のOSの上で英語のアプリを動かしているに過ぎない.ただ,この人はものすごく勉強して,英語のアプリの性能がものすごく良いのである.

 もうひとつ面白い試みがある.仕事もみんな英語でやってしまおう,という会社が出て来た.仕事も英語でやらせたら,社員の英語力もあがるだろう,という訳である.いわゆる,社内英語公用語化である.

 それをやると,社員は,日本語のOSの上で英語のアプリを動かし,更にその上で,会社での仕事アプリを動かすのである.もちろん動作は重くなる.仕事の効率も落ちるのは目に見えている.

 社内公用語化.これは楽天とユニクロが有名である.これからホンダ自動車も続くらしい.

 どうなったか.

 アパレル業界では、今年はユニクロが一人負けだそうである.これは社内英語公用語化と無関係ではあるまいと私は思っている.

 楽天.最近の楽天のサイトは,広告が多いね.上にも下にも右にも左にも広告だらけで,私の目指す商品はどこに出ているの? という感じ.アマゾンの方が遥かに垢抜けしている.

 4−5年前,電子書籍戦争の火ぶたが切って落とされた,電子書籍のプラットホームを握った者が,電子書籍業界を独占できる.楽天は,楽天Koboと言う端末を9800円と言う,当時としては画期的な値段で販売した.電子書籍業界で覇者になろうとする野心的な試みであったのだろう.

 しかし,今はどうだ.アマゾンの前にKindleの前にもはや影も形もない.これも英語公用語化という,アホな試みをしたために,仕事の効率が下がったのだろう.

 仕事というのは,いわば戦いなのだ.マンモスをしとめる戦いである.しとめた者が食にありつける.必死に槍を投げなくてはいけない.

 それを,「左利きになるため」と称して,左手で槍を投げていたら,どうなる.マンモスは捕まえられるのか.

 それが,会社内英語公用語化の正体なのである.

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