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TPP は、これに加盟した国々の間で原則的に関税を撤廃しようと言う条約であるが、その他に、非関税障壁の撤廃ということも目指している。この非関税障壁の撤廃というものが、まことに厄介なものなのである。米どころの騒ぎでないのである。
非関税障壁とは
関税以外の貿易の障害になる、あらゆる規制やルールのことである。
輸出入に不平等な結果をもたらすある国の特有の社会制度や取引慣行にまで拡大解釈される可能性が大きく、また、TPPのルールが加盟国のルールに優先されるという考え方がこの条約に含まれているらしく、そのことが懸念されている。
特に、投資家や企業が相手国に不平等な扱いを受けたとき、その企業は相手国を訴えることができる(ISD条項(投資家対国家の紛争処理条項))というものがある。これが、とんでもない代物なのである。
例を挙げると・・・・
○オーストラリアでは「タバコののみ過ぎに注意」という公衆衛生規則が不当な貿易障害であるとして米タバコ企業に提訴された。
○カナダでは有害なMTTという化学物質の流通を禁止したことが原因で、その製造会社である米化学企業に訴えられ敗訴している。
○メキシコでは米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して許可を取り消したため、この企業はメキシコ政府を提訴し勝訴している。
このように一国の法制が資本家の都合で踏みにじられていく例は多々存在している。
個々の事例でそれなりの理由があるが、この治外法権的な条項はかなり危険なものである。
例えば、野田総理は、「皆保険は守る」と断言しているが、TPPが締結され、ISD条項がその中にあれば、外国企業(おそらくアメリカの保険会社)が、「日本の皆保険は非関税障壁だ。あんなものがあるから、我々の医療保険が売れない」と言い出して、訴えて、彼らが勝てば、日本はあっさりと皆保険制度を辞めなくてはならないのである。
故に彼の「皆保険は守る」というのは、例によって、野田どじょう総理のお得意の空念仏である。
TPPではこのISD条項に我々は最大限の注意を払うべきであるし、これが盛られているようであれば、絶対賛成してはならない。
先日の国会で、野田総理が、ISD条項についての質問を受けた時、彼は、ISD条項について知らない、と言って、また逃げようとしたが、実は彼が知らない訳が無いのである。彼を始めとして推進派の人間は都合の悪いことになるとトボケる癖があるようだ。まったく油断も隙もない。
ISD条項のことを話に出されると、これがとんでもないものであることは、野田総理は百も知っている訳であるから、トボケている訳である。
まったく、推進派の人間は信用ができないのである。
とんでもないTPP, ならびに ISD条項にきちんと「NO」と言おう。
それが、貧乏に転落するのを防ぐ道だ。
(平成23年11月23日)