TPPの真の狙いは?
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 TPPについて概略を余所のホームページから引用してざっと述べた(下記).

 自由貿易,というと,日本の農業は大丈夫か,米は大丈夫か,という話にすぐになる.実際,このTPPという話でも,農業がどうなるか,と言う話で持ちきりである.

 しかし,TPPの真の狙いは,「医療」である.もっと言えば,求められていうのは「医療保険」の開放である.

 もっと具体的に言えば,「混合診療を解禁しろ」と言うことである.そして,これを強く言っているのは,アメリカである.

 医療保険(生命保険ではなくて)の分野ではアメリカの保険会社がもっとも進んでいる.だから日本に参入したくてしょうがない.参入すれば,日本人の個人資産700兆円あまりを我が物にできるのである.

 混合診療個人資産を狙うアメリカ系保険会社については,蝿太郎はすでに描いている.参考にされたい.

 実はTPPの問題は農業でどうとか,カルフォルニア米でどうとか,言う話ではない.金額の桁が違う.

 また,アメリカには日本に売る米などない.アメリカ国内にいるアジア系住民の需要を賄うので精一杯だ.まあ,ベトナムあたりと組んで一時的に安い米を日本に入れて,日本の米農家を叩きつぶした後で,高い米を買わせるのも良いだろう.3年もやれば,日本の米農家なんて潰れてしまう.だけど,せいぜい10兆円レベルの話.大したことはない,というのが,諸外国の考え方.ただし,日本にとっては,食料がなくなるので大変な問題である.

 混合診療が解禁されると,皆保険枠と混合診療枠 というのができる.これから開発された新しい医療,薬はすべて混合診療枠に入る.

 ここがポイントであるが混合診療枠に入ったものでも,優れた治療法や薬は皆保険枠に入れるべきでは,と思う人も多いのであるが,そうには絶対にならない.そんなことをしたら,保険会社が保険を組めなくなってしまうではないか.

 現在でも厚生労働省が認めたものは「最先端医療」と称して,混合診療が認められている.もちろん,有用なことが分かれば国民保健が効くようになる.

 それではなぜ,混合診療が認められたら,国民資産700兆円が吹っ飛ぶのか?

 混合診療が認められた当初は,混合診療枠は小さな物であろうが,時とともにだんだん大きくなる.

 例えば,私が医師になった20年前(昭和62年ころ)には,今では一般的に行われているCTもMRIもなかった.尿管結石を超音波で破砕する医療も保険には入っていなかった(この器械は日本では札幌に一台だけあった).腹腔鏡手術もなかった.心臓の冠動脈が詰まると,今はカテーテルで血栓を除去し,患者は次の日に退院しているが,このころは開胸術しかなかった.つまり,もし,25年前に混合診療が認められていたら,これらの治療がすべて保険がきかないと言うことになる.

 すると,国民はこれに備えて,医療保険を買わなくてはならなくなる.だいたい,年齢にもよるが,4人家族で年間30万から200万ほでになるのではないだろうか.高齢者はものすごく高くなるか,入るのを拒否されることになろう.また,もともと病気持ちの人もそうなる.

 実態は,完璧な医療保険に入ろうと思ったら,マイクロソフトの社長のビルゲイツ位年収がなくてはだめだという話もある.

 そしてこれのノウハウはアメリカの保険会社が持っている.だから大もうけだ.

 医療保険に入らない人も出るだろう.しかし,いったんその人が病気になったら極めて悲惨なことになる.苦労して建てた家も何もなくなってしまうだろう.

 これが混合診療の実態であるし,TPPの真の狙いであるのだ.これを銘記せよ.

 


【記事から】

http://allabout.co.jp/gm/gc/324840/

 TPPとは、「環太平洋戦略的経済連携協定(Trans Pacific Partnership)」の略称。簡単に説明すると、太平洋周辺の広い地域の国、例えば日本、中国、東南アジア諸国、オセアニア諸国、アメリカなどが参加して、自由貿易圏を作ろうという構想です。 

 アメリカ大陸には、すでにNAFTA(北米自由貿易協定)という自由貿易圏があります。NAFTAはアメリカ、カナダ、メキシコの3ヶ国だけの自由貿易協定ですが、この3国間では関税などなしに自由に貿易を行うことができます。このような自由貿易圏を太平洋周辺の広い地域で作ろうというのが、TPPの構想です。

 TPPは2006年5月にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国で発効したのが始まり。この当時はまだ大国と言える国はいませんでしたが、その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの4ヶ国が参加の意思を表明して、交渉を開始しています。つい最近になって、マレーシアも参加の意思を表明しました。これらの国が全て参加すれば、TPPは9ヶ国の自由貿易圏になります。

 TPPは2006年5月にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国で発効したのが始まり。この当時はまだ大国と言える国はいませんでしたが、その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの4ヶ国が参加の意思を表明して、交渉を開始しています。つい最近になって、マレーシアも参加の意思を表明しました。これらの国が全て参加すれば、TPPは9ヶ国の自由貿易圏になります。

 そして10月になって菅政権は、「わが国もTPPへの参加を検討する」と表明しました。

損得勘定は?

政府は早速、日本がTPPに参加した場合、どの程度の影響が出るか試算。今回は内閣府、農林水産省、経済産業省の3省庁が試算を出したのですが、それらの結果はバラバラで、どれが正しいらしいかわからなくなっています。

内閣府は、日本がTPPに参加するとGDPが2.4?3.2兆円増えるという楽観的な見方を出しています。

一方、農林水産省は反対に日本がTPPに参加することは非常に大きなマイナスになると述べました。農水省の試算では、日本がTPPに加盟すると他国からの安い農産物が大量に輸入されるため、日本の農家の多くが農業をやめてしまうと読んでいます。結果、農業関連のGDPが4.1兆円も減少、GDP全体としては7.9兆円もの損失になるとか。環境面でも3.7兆円の損失になり、合計で日本が被る損失は11.6兆円にも。

さらにそれだけには留まらず、340万人の雇用が失われ、食糧自給率も現在の40%から14%にまで下がると予想しています。これでは、日本は踏んだり蹴ったりという結果になります。

経済産業省の試算は、こちらも日本はTPPに参加した方が利益になると結論を出しています。日本がTPPに参加しないと、アメリカやEUと独自に自由貿易協定を結んだ韓国が躍進し、結果として日本のGDPは2020年までに10.5兆円も減少すると予想しています。この減少は、自動車、機械産業、電気電子の主要な3業種による部分が大きいとのこと。

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