札幌天使病院 産婦人科医全員退職の衝撃

 

天使病院 産婦人科医4人辞職へ 危険性高い出産に対応 「経営側に不信感」

  道の地域周産期母子医療センターとして、道央の産婦人科医療の拠点となっている札幌市東区の天使病院(杉原平樹(つねき)院長、二百六十床)で、産婦人科医六人のうち四人が、病院を辞める意向を固めたことが七日分かった。
  病院側は「仮に一部の医師が退職しても、新たな医師を確保して診療機能は維持する」としている。

  同病院は、全道に25、札幌市内に四施設ある地域周産期母子医療センターの一つ。年に約800件の出産のほか、道央で最大規模の新生児集中治療施設(NICU)を設置し、緊急の帝王切開手術や低体重児の出産など、危険性の高い出産に対応している。

  同病院は、2003年に社会福祉法人聖母会(東京)から医療法人社団カレスアライアンス(室蘭)に経営が移管されたが、今年十月には、特定医療法人社団カレスサッポロ(札幌)への移管が決まっている。

 関係者によると医師四人は「経営母体が頻繁に変わる理由や、移管先の経営内容について情報開示が不十分。経営側と信頼関係が築けず、リスクが伴う周産期医療は続けられない」と退職の理由を説明しているという。残る二人も、退職を検討している。

  杉原院長は「一部の医師が、新法人での勤務を希望していないのは事実だが、現在も説得を続けている。診療規模と医師数は、今後も維持する」と話している。


天使病院 産婦人科医4人辞職へ 危険性高い出産に対応 「経営側に不信感」

(平成19年8月8日)

 道の地域周産期母子医療センターとして、道央の産婦人科医療の拠点となっている札幌市東区の天使病院(杉原平樹(つねき)院長、二百六十床)で、産婦人科医六人のうち四人が、病院を辞める意向を固めたことが七日分かった。病院側は「仮に一部の医師が退職しても、新たな医師を確保して診療機能は維持する」としている。

 同病院は、全道に二十五、札幌市内に四施設ある地域周産期母子医療センターの一つ。年に約八百件の出産のほか、道央で最大規模の新生児集中治療施設(NICU)を設置し、緊急の帝王切開手術や低体重児の出産など、危険性の高い出産に対応している。

 同病院は、2003年に社会福祉法人聖母会(東京)から医療法人社団カレスアライアンス(室蘭)に経営が移管されたが、今年十月には、特定医療法人社団カレスサッポロ(札幌)への移管が決まっている。

 関係者によると医師四人は「経営母体が頻繁に変わる理由や、移管先の経営内容について情報開示が不十分。経営側と信頼関係が築けず、リスクが伴う周産期医療は続けられない」と退職の理由を説明しているという。残る二人も、退職を検討している。
 杉原院長は「一部の医師が、新法人での勤務を希望していないのは事実だが、現在も説得を続けている。診療規模と医師数は、今後も維持する」と話している。

著者コメント:「診療規模と医師数は、今後も維持する」・・・そんなこと出来るわけ無い,と思ったらやっぱり無理でした.(次の記事)


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------------出産難民も出る可能性 産科医全員退職する天使病院

(平成19年8月11日)

 産婦人科医六人全員が九月末までに退職することが十日明らかになった札幌市東区の天使病院は、地域周産期母子医療センターとして、早産や重い妊娠中毒症など高いリスクの出産を道央全域から受け入れてきた。高リスク出産に対応できる他の医療機関は満床状態が続いており、同病院が後任医師を確保できずに産科の診療体制を縮小すれば、産む場所の見つからない「出産難民」が出る可能性もある。

 「天使病院が高リスク出産の受け入れをやめたら本当に困る。今でも受け入れ先を探すのはひと苦労なのに」。同市白石区で産婦人科医院を開業する小泉基生医師は影響を予測する。天使病院では、高リスクの妊婦が別の医療機関から運び込まれる「母体搬送」だけで年間七十件を数え、道央圏では市立札幌病院の同百四十件に次ぐ多さだ。

 高齢出産の増加などで増えている高リスク出産には、新生児集中治療施設 (NICU) を設置し、産科と小児科が連携した二十四時間体制の医療が必要。人手を確保できる医療機関は限られ、道央圏で積極的に受け入れている病院は、北大病院などごくわずか。

 一方、母体搬送の受け入れ率は現在でも、市立札幌病院が約75%、天使病院は約50%にとどまり、空きのある病院が見つけてやりくりしている。市立札幌病院の晴山仁志産婦人科部長は「天使病院が高リスク出産の受け入れをやめたら、現場は大混乱する」と危機感を募らせている。


天使病院 産婦人科医全員が退職へ 来月末 「周産期医療、困難」

(平成19年8月11日)

 産婦人科医の集団退職が明らかになった札幌市東区の天使病院(杉原平樹(つねき)院長、二百六十床)で、診療科長を含む産婦人科医全員の六人が、九月末までに離職することが十日分かった。同病院は年間約八百件の出産を扱うほか、道内に二十五施設ある地域周産期母子医療センターに指定されており、道央全域の産婦人科医療への影響は避けられない。

 現在、医療法人社団カレスアライアンス(室蘭)が経営する同病院は十月、同じカレスグループの特定医療法人社団カレスサッポロ(札幌)への移管が予定されている。院内では移管に反対していた産婦人科医の前院長が八月下旬で退職し、診療科長を含む三人も「経営内容の不透明な新法人による再雇用を望まない」と病院側に伝え、九月末の離職を決めていた。

 さらに、残る二人の若手医師も十日までに、「中核となるベテラン医師が不在のまま、高リスクの周産期医療は続けられない」と、同じく九月末で離職する意思を杉原院長に伝えた。

 医療法人の関係者によると、同病院は新たな産婦人科医の確保を始めているが、全国的に産婦人科医が不足する現状で、新たに六人の雇用は難しい見通し。杉原院長は「(リスクの高い妊婦を診療する)母体搬送の受け入れは難しく、診療体制の縮小は避けられない」とした上で、「今後も医師確保に向けて努力を続ける」と話している。

◇周産期医療 妊娠後期から生後約一週間を指す「周産期」の母体と胎児・新生児を対象にした、産科と小児科の2科による総合的な医療体制。特に出産時の新生児仮死や低体重児出産など、母子の生命にかかわる緊急事態に備える。

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 今や、産婦人科医を志す若いドクターはほとんどいない。大学病院の産婦人科の教授ですら、自分の大学病院で当直をせざるを得なくなった大学もあるくらいだ。このような大学は今後さらに増えて行くだろうし、教授の当直日数も減ることはなく増え続けるだろう。

 従って、今や、5−6人の産婦人科医が常駐し、一般の産婦人科の診療から、周産期を診ている施設は本当に少ないし、今後は減って行く。したがって、このような施設は非常に貴重なものなので,ありとあらゆることをして大事にしなくてはならない。

 天使病院、カレスグループ ーーー 何人か自分の知り合いも働いているが、あまり医師を大事にする病院ではないようだ。天使病院もカレスに吸収されるやいなや、会議がやたら増え、仕事がしづらくなったと友人もこぼしていた。

 そのような天使病院で6人の産婦人科医が全員退職するという。このニュースに接した時,私の感想は「ああ、やっぱりか」というところである。

 今や、6人の産婦人科医が働くような施設は貴重であるし、なくなったら再興は不可能である。

 このように多くの産婦人科医が常駐している病院は産婦人科医に対しておおいに気を配るべきである。配りすぎて配りすぎるということはない。

 いくつかの方策がある。極端な所もあるが、聞いていただきたい。とにかく思い切ったことをしなくてはいけない、ということである。院長や病院管理者なども,他の医師とのバランスが...などとモゴモゴ言っていると,産科自体すべてを失ってしまうことになるだろう.

 1)分娩の値段を100万円から200万円にする。

 例えば、今、分娩の値段は30万くらい。これは自由診療なので思いっきり上げる。そして、30万は病院がとるとして、残りの70万−170万は産婦人科医に渡す! 衝撃的かも知れないがこのくらいやっても良い,と個人的には考える.

 2)外来は完全予約制。飛び込みは診ない。

外来受診の予約が3−4週間後かもしれないが、もうやむを得ないだろう。もう、産婦人科の疾患で十分に産婦人科の診療が受けられる時代はこの日本では終わったのである。これは国民が認識しなくてはいけない。

 3)分娩制限は当然。

 4)夜間の急患の飛び込みには原則として対応しない。

そのようなことは不可能。また、そのような患者に限って、文句を言ったり、途方もない要求、例えば「おれの女房が死んだら、お前を殺す」などと言う傾向がある。また,先も述べたが,十分に産婦人科の診療が受けられる時代はこの日本では終わったのである.

 5)途方もないことを言う患者に対しては診療を毅然と中止する。

    これは前の記事でも述べた。

 まあ,このようなことを機動的になっていかなくてはならないだろう.奇天烈に思われるかも知れないが,今やここまで真剣に考えなければならない時が来たようである.

掲示板より・・・

カレスはカオス 投稿者:カレス勤務経験者 投稿日:2007/08/20(Mon) 22:41:05 No.835
 

 聞き及んだ情報のうち一般的なことですが参考までに(ご存じの方もいるでしょうが、あんまりにもレスがないので)。


 私は決して解雇ではなく反乱と思ってます。


 カレスグループは元々室蘭の日本製鋼所の病院を母体に日鋼記念病院(後のカレスアライアンス)から始まって現理事長が院長として地域医療から始まって新たな病院のあり方に辣腕をふるって成長してきたものです。拡大志向?からかカレス札幌を形成して様々な病院を買収(当時は救った)し、無謀にも独自路線として新たな医療経営に乗り出している法人といえましょう(いいも悪いも自由経済ですから、結果論的に見ればそう思います)。


 医師の年某俸制や退職金の制約(3年以上勤務のみ支払われる)など、医師のスキルアップを名目(えさ)に医師給与の縮小(勿論コメディはボーナスはあるものの額は抑えられてる)で経営基盤を安定化し拡大路線を進んできたと言っていいでしょう。
 その経営路線と天使病院の基盤及び産婦人科医のポリシーとの温度差が激しく、今回の騒動になったと聞き及んでいます。


 現に日鋼記念病院の産婦人科撤退・退職では1年前からその話しがあっても真剣に取り組まず、あげく引き延ばし戦略で現時点まで産婦人科閉鎖状態になってます(天使の真の補充は無理でしょう)。
 同時に日鋼記念病院院長が更迭され、今回も天使病院院長は前産婦人科トップを三顧の礼で再度迎えたにも関わらす更迭している経緯から(その前の前北大教授も解任・解雇)は、慰留工作を行い失敗した経緯があると推測され、仮に解雇であったとしても単なる体裁作りで行ったものでしょう。
この一連の北大産婦人科との関連からは(日鋼では旭川医大が撤退)、再開は無理と考えざるを得ません。


あくまでも産婦人科に限って、
 産科医療は他の科と同等以上の社会的重要性がある

  → 然るに、今の現状は崩壊寸前である


=産科医療の現状はガラガラポンへの過渡期にある(あえて患者ではなく、クライアントの認識とのずれ、訴訟風潮の犠牲、診療体制(自由診療と保険診療のはざまを玉虫ですましたつけ)の不備、国の医療への経済的負の介入、国政基盤の揺らぎ、などなどから先に見通しの不透明さ)


→産婦人科医療(新生児も含む)を理解しない医療経営母体では無理(決して公営がいいという話しではありません)


→したがって、今回の天使病院の産婦人科辞職撤退は他の今までの地域の集約化に伴うものと違った構造にある

→医両者個人個人ではなく社会構造の中の医療レベルの話しでは、そう言った綱渡り的な環境を放置し、甘んじて享受してきたつけを払わされることになる点でインパクトが逆に大きいはず(国策、地方自治体、ひいては住民)なんですが。


 私見です道民のおおらかさが本道では実害をマスクしてるような気がしてなりません。他の地域に比べかっての医療過疎時代の名残があるのか、真剣みが足りないような気がしてなりません(また、我々医師も楽観視してるような気が…)。


 長レス恐れ入ります。
 今後も見させて頂きます。管理人様含めHP発信の諸先生方に感謝して発言させて頂きました(五里霧中も勿論チェックしてます)。


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Re: カレスはカオス 脳外科見習い - 2007/08/21(Tue) 09:41:53 No.836
 

 貴重な御意見・情報ありがとうございました。
 大体予想通りですが、詳細がわかりました。

 このような状況にどう前向きに闘っていくかが重要課題なわけですが、問題は山積しておりますね・・・。

 拙ブログのチェックありがとうございます。

 米国と違い、日本に市場原理が医療に導入されても、医療費は抑制され、医師が搾取対象にしかならない、なおかつ理想に医療がますますできないというのが問題だと思われます。
 医療従事者にとっても国民にとっても不幸になり、搾取団体のみがウハなわけです。搾取団体のウラに海外資本も見え隠れしているところが又米国と違った環境かと。

追)産科全員辞職に関して拙ブログでエントリーを立ててみました。(五里霧中)

http://blog.goo.ne.jp/peak1839/e/fa662f0982e405f53e54021c9d716861

http://blog.goo.ne.jp/peak1839/e/006aea3de722866101dc59ddf1247fc4


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Re: カレスはカオス A企画 - 2007/08/21(Tue) 10:24:47 No.837
 

 カレス勤務経験者さん.詳しい情報ありがとうございました.

 道民はのんびりしているのかも知れませんが,札幌でも,周産期医療は大変です.時間の問題で崩壊します.これをできるのは政府しかありませんが,動こうとはしていません.だから自民党はもうだめなのかもしれません.と言って,民主党にも動きはありません.

 崩壊を救うには
 ・研修医制度をとにかく一時的にでも停止する.
 ・北海道は,医療訴訟をしない宣言をする.高橋はるみ知事あたりが積極的に動いてくれると良いのだが...

 まずはこれしかありません.私はいろいろと大がかりな改造を擁する案とか,金のかかる案とかはあえて出しません.すぐにできるもののみを出します.それが私のモットーです.

 また,脳外科見習いさんのおっしゃるように,医師が搾取対象とならないためには,どうするか.

 それにはきちんと時間外手当を請求し,受け取ることだと思います.また,きちんと有給休暇をとる.これを病院全体で認めていく.現場任せ,人任せにしない.トップがきちんとやっていく.

 ちなみに,これらはわたしだけが言っているのではありません.労働基準法という法律なんです.

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