【コメント】
まず最初に・・・私はこの産婦人科医師の上田康夫先生のお考えに心から感動した.
もし,本気で,周産期医療に小児科医,産婦人科医を十分に配置してきちんとしたものにしたいと本気で考えるのなら,周産期医療に関する医療裁判を起こすことを禁止することしかない.直裁に言わせて貰ったが,これしかない.
この一連の記事を読んで,自分なりにいろいろと勉強になった.自分は医師ではあっても,産婦人科医でも小児科医でもないので,現在の周産期医療というものをよく知らなかったな,とあらためて思った.
私は,お産というのは,産婦人科医がいれば出来るものだと思っていたが,なるほど,現代のレベルを支えるためには,産婦人科医と小児科医がいなければいけないのだな,と思った.
母親の5人に1人は、 赤ちゃんに髄膜炎や敗血症をもたらすB群溶連菌を膣や肛門周辺に持っており、 産道を通る際に赤ちゃんが感染する可能性があるということまで考えると,なるほど,小児科医に待機して貰うことも必要だ.
どこの科でもこのようなことはある.となると,なるほど,医師は数の面でも明らかに不足している.
自分が以前に述べたように,女医さんが増えているので,女医さんのリタイア率を考えると,医学部の定員を100人から120人に増やさなければ,私の卒業した20年前の水準にはならないし,現在の医療水準を維持するためには,もっと沢山の医師が必要とされる.もちろん,それにかかる医療費も増やす必要があろう.
こんなことは日本国しかやっていないというのなら,財政の面で奇天烈な考えと言うことになるが,医師数の面でも,医療費の面でも,いわゆる先進国の中では統計上明らかに最低レベルであるので,医師の数を増やし,医療費を増やすというのは,奇天烈な考えではなく,むしろ常識的な考えであろう.
ただ・・・ただ,医療というのはもう一つの側面がある.仕方がないとあきらめる,という側面である.現代の医療水準というものがあるが,これをあきらめるという選択枝もあるということだ.
お産を例に取れば,昔は『三(産)と四(死)は隣り合わせ』であったのだが,現代でも,これでも仕方がない,という考え方もある.母体死亡率が10万人中現在の5人から230人にあがるだろうが,助産婦によって行わせる.そのような選択肢も医療というものには確かにある.
「周産期医療に関する医療裁判を起こすことを禁止する」などというのは,法律を作らなければダメで,これは政府が精力的に取り組まなければならない仕事となるわけだが,少なくても今の政府にそのような動きも考えもない.むしろ,助産所での出産を進めようとしている.ということは,政府は国民に「仕方がない.あきらめよ」という選択を強いている,ということらしいですね.
【今すぐ出来る対策】
とにかく,兵庫県の住民が柏原病院の存続を心底願うのなら,柏原病院には救急外来を辞めて頂き,平日9時から5時までの診療としてもらう以外にない.そうしないと,本年度中にこの病院は崩壊するだろう.
あと,柏原病院は時間外手当を満額きちんと医師に払うべきだろうね.これをケチっていると,本年度中にこの病院は崩壊するだろう.
あと,くどいようだが,この上田康夫先生も述べておられるように,医療崩壊の主原因は研修医制度.だから,これを廃止すべきだろう.
柏原病院で配られた悲壮なチラシ:子供を守ろう お医者さんを守ろう
コンビニ感覚で夜中でも訳もなく来院していると,医者はいなくなる!
井関友伸先生のブログより